150726_00
 万人受けしない話(色んな意味で)

 時に私は自分のやり方を非道だと思うことがある。

 などと言うのも、時折り「効率寄りに考えたがる私」が顔を覗かせる事があるからだ。手間や時間を惜しんで手段を選んでいないケースが稀にある。その点では効率厨と言われても仕方がない。

 そのため、潜水艦娘にしても頭数に物を言わせるだけの保持数でいるし、レベリングの時にはデコイにだってなってもらう。

 持ってくる優良装備があるのなら手の許す限り付き合ってもらうプランでいる。
 その昔は五十鈴育成を繰り返して止まない時期だってあったくらいだし、最近だと41cm連装砲欲しさに罪なき陸奥を手にかけたことも記憶に新しい。三隈なんて上玉を掴めたのなら真っ先に30レベルへ仕立て上げるまでがクマリンコの習わしである。

 無論、身包み剥いだらその後は...想像通りにどうにかなる。

 キラ付け1つにしてもキラ化艦の損傷を抑える為にそこらの駆逐辺りを付き添わせること、所謂バイト艦だって手段の一つに数えてもいる。戦艦、空母クラスのキラ付けともなれば単艦で1-1周りする事は今後恐らくないのだろう。

150726_01
 いやまあ、人によっては「自分もそうしている」「そんなの普通じゃん」という声もそこまで珍しくはない様なので、これも1つのスタンダードな指揮形態、言わば提督の在り方の1種ではあるのだろう。

 とはいえ、艦隊指揮の指針が千差万別だというのもまた確かな話、中にはここまでの行いをよく思えない提督だっているに違いない。


 現に私も「酷い」と思う節はある。

 バイトキラ付けを例に挙げれば、慕って付いてきてくれた艦娘の初任務は本命を守る弾除け。しかも用がすんだらそのままはい、オサラバ。要はこういう事になる。
 これが一個性への扱いだとしても流石に酷い話だ。こんな胸糞悪い行いに疑問なく「良し」と出来るのならその神経はまさに畜生という奴だろう。ぐう畜。
 「艦娘は戦うのが仕事」とか言ってもあまりにもえげつない。これなら1-1-1で回遊するイ級にでも生まれた方がマシってもんである。


 そうはいっても...「でも、やっちゃう」。
 その弁もまた提督のものである。だって戦艦空母の修理長いんだもん。私もそう思う。

 その長い時間をカット、ないし削減できる。修理費だって抑えられる。
 資材にしても時間にしても艦隊を効率よく回すのにバイトキラ付けで得られるリターンは大きすぎるまである。不要なロールプレイさえ捨ててしまえば窮屈でなくなる。...うまい話である。

  「綺麗事で艦隊戦が出来るか」とでも言った所だろうか。

150726_03
 バイト艦にしても牧場行為にしても。

 知った当初はまだ遠慮がちに禁断へ触れようとしていたのだけれど...手を伸ばした先は得を得る手段、知ってしまった蜜の味はあまりにも美味である。
 一度でも口にすれば最後、禁忌に味を占める提督は後を絶たない事だろう。タブーの虜にかからない提督はそう多くはないんじゃないだろうか。

 ...そして、当の私もまた虜の例に漏れことはなかったのだ...なんて心弱い。


 そんな訳で私は...
  • 不用意な複数艦運用はするし、
  • 装備目当ての艦娘育成も昔から、
  • バイト艦の使用だってありうるし、
  • オマケに赤疲労レベリングまでやっちゃう。
 等々、轟沈に触れない事ならほぼほぼ黒い事を続けてきた。
 流石に一線だけは超えないにしても、自分でいうのも難だが、着任当初の清い目をしていたあの頃と比べると随分と汚れてしまった気はしている。

 見る人から見れば私はさぞ黒かろう。


 ...しかし、だ。

 例え酷かろうと汚れていようと黒かろうと、ここで足を洗うことは出来無い。いいや、それが許される事は断じてないはずだろう。少なくとも私の目にはそう見える。

 一応まだ「酷い」と思える良心は残っているらしいので、時折り引き返したくなる事もあるのだが...知恵の実の味を知ったアダムとイブには「人に成る道」しか残されてはいないのだ。

150726_02
 そう、なぜなら一度手を染めてしまったのだから。

 ここで辞めたとしても盾に消えた駆逐艦達が浮かばれる事はない、対空値として生きる五十鈴だって笑顔ではいないだろう。
 むしろ何故「自分達だけが不条理にあったのか」、何故「後続の輩は免れていいなずなのか」

 育てる気も無いLv1駆逐とて、あの時電探を増やしてくれた五十鈴にしても、一部鎮守府では引っ張りだこの蒼龍だって。それぞれを同じ「艦娘」として扱うならここで手を引くのは差別を生む事になる。

 故にこの蒼龍も立派に改二化させてやるのが道理である。例外はない。


 戦意のために、装備のために、ひいては艦隊のために。

 利用されただけの艦達はさぞ無念だっことだろう。そして利用されていく身も辛かろう。怨嗟の声も然るべきというもの。
 ならばその呪いを抱えて朽ちるまで歩く事。それが私と私の艦隊に出来る限りの供養であり、課せられた生き使命なのではないだろうか。

 その為なら知恵の実に歯を立てる禁忌も喜んで犯してやろう...旨い目見たいのもなくはない。


 バイトよくない、牧場よくない...じゃあ近代化改修ってなんなんだよ...。

-了-